支援の背景・きっかけ
ALLCONNECT様は、通信インフラ関連のサービスを幅広く展開し、事業の成長とともに組織規模も拡大を続けてきました。しかし、事業拡大のスピードに対して、業務プロセスの整備が追いついていない領域がありました。特に一部の部署では、業務マニュアルが存在するものの、実際のオペレーションでは担当者が経験則や感覚的な判断でフローの一部をスキップしたり、独自の基準で対応したりしているケースが見受けられました。
こうした「暗黙知」に依存した業務運用は、担当者が異動・退職した際の引き継ぎリスクや、品質のばらつきにつながりかねない状態でした。マニュアル上には書かれていないが現場では当然とされている判断基準やフローが数多く存在し、「マニュアルを読んだだけでは業務を再現できない」という課題を抱えておられました。
BWH総合研究所との出会いは、県主催の若手起業家ピッチイベントがきっかけでした。イベントでの交流を通じて、BWH総合研究所の「現場に寄り添いながら仕組みを整える」支援スタイルに共感いただき、まずは特定部署のマニュアル整備からご相談をいただきました。
課題のポイント
・業務マニュアルに担当者の暗黙知が多く含まれ、属人化が進んでいた
・マニュアル上でスキップされているフローが存在し、実態と乖離していた
・担当者の感覚的な判断基準が言語化されておらず、引き継ぎが困難だった
・マニュアルの更新・運用ルールが定まっておらず、形骸化のリスクがあった
支援のアプローチ
BWH総合研究所では、「マニュアルを作って終わり」ではなく、現場の実態を丁寧に掘り起こし、担当者自身が気づいていなかった暗黙知までを言語化することを基本方針としました。また、今回対象とする2部署の支援を通じて、他の業務にも横展開できるテンプレートと運用の仕組みを同時に構築することを目指しました。
Month 1:現状把握と暗黙知の洗い出し
支援の初月は、対象となる2部署の業務実態を深く理解することに注力しました。既存のマニュアルを精査するとともに、各担当者への個別インタビューを実施し、「マニュアルに書いてあること」と「実際にやっていること」のギャップを丁寧に洗い出しました。
特に重視したのは、担当者自身も意識していない暗黙知の可視化です。「なぜこの手順ではなく、こちらを先にやるのですか?」「この判断はどういう基準で行っていますか?」といった問いかけを繰り返すことで、長年の経験から無意識に行っている判断や、マニュアルには記載されていないが業務品質を左右する重要なポイントを一つひとつ言語化していきました。
また、マニュアル上ではフローとして記載されているものの、実務上はスキップされている工程も複数特定しました。スキップの理由を確認することで、「本来は必要だが効率化のために省略されているもの」と「実態に合わなくなり不要となったもの」を切り分け、新マニュアルの設計に反映しました。
Month 2-3:新マニュアルの設計・作成
インタビューとワークで得られた情報をもとに、2部署それぞれのTo-Be(あるべき姿)の新マニュアルを設計・作成しました。このフェーズでは、担当者との共同ワークを重ね、「書かれたマニュアルが本当に実務で使えるか」を何度も検証しました。
新マニュアルの設計にあたっては、3つのポイントを重視しました。1つ目は、感覚的だった判断基準の明文化です。「ケースバイケースで対応」とされていた場面について、判断の分岐条件を具体的に定義し、誰が読んでも同じ判断ができるレベルまで落とし込みました。2つ目は、フローの完全性です。スキップされていた工程について、残すべきものは手順として復元し、不要なものは正式に廃止する判断を現場と一緒に行いました。3つ目は、更新しやすい構造設計です。将来的な業務変更に対応できるよう、モジュール型の構成を採用し、変更が発生した箇所だけを差し替えられる仕組みにしました。
Month 4:テンプレート整備と運用体制の構築
最終フェーズでは、2部署での成果を横展開するための仕組みづくりに取り組みました。新マニュアル作成の過程で確立した手法を、他の業務でも活用できる汎用テンプレートとして整備しました。
テンプレートには、暗黙知を洗い出すためのインタビューシート、業務フローの可視化フォーマット、判断基準の定義シートなど、マニュアル作成に必要な一連のツールを含めました。併せて、マニュアルの定期見直しサイクルや更新時の承認フロー、担当者の役割分担といった運用ルールも策定し、マニュアルが形骸化せず「生きた文書」として機能し続けるための体制を整えました。
支援の成果
- 2部署の業務マニュアルを全面刷新し、新マニュアルとして完成
- マニュアル内の暗黙知を洗い出し、判断基準として明文化
- スキップされていた業務フローを特定・整理し、実態に即したフローに再設計
- 他部署への横展開用テンプレート一式を整備
- 担当者の感覚的な判断基準が言語化され、属人化リスクが大幅に低減した
- マニュアルの更新・運用ルールが明確になり、継続的な改善サイクルが回る体制が整った
- 「マニュアルは作って終わり」ではなく「育てていくもの」という意識が組織に浸透した
- 他業務への展開が可能なテンプレートにより、今後の業務標準化の基盤が構築された